本プロジェクトは、Self-Mirroring Twins(SeMT)との共棲を通じて、人が自らを見つめ直し、主体的に行動を変えるための科学と技術を確立します。
研究の背景と目的
AIやロボットが人の行動を代替するだけでは、人が自ら考え、選び、行動する主体性を弱める可能性があります。本プロジェクトでは、ユーザを一方的に導くのではなく、ときに励まし、ときに異なる視点を示す「もう一人の自分」とのインタラクションを通じて、生活習慣の改善やリハビリテーションを支援します。
プロジェクトの構成
Virtual SeMT
VR・AR・スマートフォン上の「もう一人の自分」を通じて、日常生活における気づきと行動変容を支援します。
関連:研究項目1
Physical SeMT
リハビリ支援ロボットや義手義足など、身体に働きかけるシステムを通じて主体的な運動を支援します。
関連:研究項目2
横断的な科学・技術基盤
人の内面を写し取る行動生成モデルと、共感・主体性を評価する手法をVirtual/Physicalの両領域に展開します。関連:研究項目3・4
社会受容と制度設計
倫理的課題、市民対話、技術設計指針、ガバナンスを研究し、責任ある社会実装につなげます。関連:研究項目5
5つの研究項目
研究項目1|バーチャルSeMTの基盤構築と社会的行動変容
担当:稲邑 哲也
VR・AR・スマートフォンによるSeMTのシステム基盤、ユーザの日常行動計測と行動生成モデルを構築します。研究期間後半には、スマートフォン上の複数のSeMTとの社会的インタラクションを通じた行動変容の実証実験を行います。
研究項目2|物理的なアシストシステムにおけるSeMTの応用と社会実証
担当:下田 真吾
リハビリ支援ロボットや義手義足を対象に、身体所有感・モチベーション・自己効力感とPhysical SeMTの振る舞い戦略の関係を明らかにします。ユーザの主体性を損なわずに運動パフォーマンスを向上させ、介護施設等で社会実証を行います。
研究項目3|適応共感型SeMT行動生成エンジン
担当:堀井 隆斗
人の内面を写し取る計算モデルを構築し、情動・感情を考慮した行動変容メカニズムを評価します。自由エネルギー原理に基づき、自己効力感向上につながるSeMT行動生成アルゴリズムを確立します。
研究項目4|SeMTに対する共感とユーザの主体性の評価系構築
担当:稲邑 哲也
脳活動・生理生体信号を用いてユーザの内面状態を推定し、SeMTの行動をリアルタイムに調整するための客観・主観評価系を確立します。自己と他者の境界の個人差を較正し、共感と主体性を両立する設計へつなげます。
研究項目5|SeMTの社会受容性の検討と制度設計
担当:呉羽 真、浅田 稔
SeMTに関する倫理的課題と対処法を特定し、市民対話を通じて社会受容性を検証します。倫理的・社会的に受容可能な技術設計指針を提案し、アジャイルガバナンスの適用によって社会実装を支援します。
想定する連携領域
- 人間–AI/人間–ロボットインタラクション
- デジタルツイン、XR、パーソナルAI
- リハビリテーション、運動支援、義手・義足
- 健康行動・生活習慣の改善
- 行動科学、認知科学、倫理・社会受容性
共同研究・社会実装に向けて
大学・研究機関・企業の皆さまと、実証フィールド、データ、デバイス、AI技術、評価手法を持ち寄る共同研究を進めたいと考えています。