研究内容

本プロジェクトは、Self-Mirroring Twins(SeMT)との共棲を通じて、人が自らを見つめ直し、主体的に行動を変えるための科学と技術を確立します。

プロジェクト情報

  • 事業:JST 戦略的創造研究推進事業 CREST
  • 研究領域:共生AI学際システム(人とAIの共生・協働社会を実現する学際的システム基盤の創出) 研究総括:和泉 潔(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
  • 研究課題名:Self Mirroring Twins との共棲による行動変容を通じた主体的社会創成
  • 課題番号:JPMJCR2561
  • 研究代表者:稲邑 哲也(玉川大学 脳科学研究所 教授)
  • 研究期間:2025年10月〜2031年3月
  • 参画機関:玉川大学、名古屋大学、大阪大学、山口大学

研究の背景と目的

AIやロボットが人の行動を代替するだけでは、人が自ら考え、選び、行動する主体性を弱める可能性があります。本プロジェクトでは、ユーザを一方的に導くのではなく、ときに励まし、ときに異なる視点を示す「もう一人の自分」とのインタラクションを通じて、生活習慣の改善やリハビリテーションを支援します。

目指すもの

人を映す

日常行動、身体状態、内面状態を捉え、ユーザ自身を反映するSeMTを構築します。

主体性を支える

一方的に指示するのではなく、共感と異なる視点を組み合わせて、自発的な行動変容を支援します。

社会へつなぐ

技術開発と並行して倫理、社会受容、制度設計を検討し、責任ある社会実装を進めます。

プロジェクトの構成

Virtual SeMT

VR・AR・スマートフォン上の「もう一人の自分」を通じて、日常生活における気づきと行動変容を支援します。

関連:研究項目1

Physical SeMT

リハビリ支援ロボットや義手義足など、身体に働きかけるシステムを通じて主体的な運動を支援します。

関連:研究項目2

横断的な科学・技術基盤

人の内面を写し取る行動生成モデルと、共感・主体性を評価する手法をVirtual/Physicalの両領域に展開します。関連:研究項目3・4

社会受容と制度設計

倫理的課題、市民対話、技術設計指針、ガバナンスを研究し、責任ある社会実装につなげます。関連:研究項目5

5つの研究項目

研究項目1|バーチャルSeMTの基盤構築と社会的行動変容

担当:稲邑 哲也

VR・AR・スマートフォンによるSeMTのシステム基盤、ユーザの日常行動計測と行動生成モデルを構築します。研究期間後半には、スマートフォン上の複数のSeMTとの社会的インタラクションを通じた行動変容の実証実験を行います。

研究項目2|物理的なアシストシステムにおけるSeMTの応用と社会実証

担当:下田 真吾

リハビリ支援ロボットや義手義足を対象に、身体所有感・モチベーション・自己効力感とPhysical SeMTの振る舞い戦略の関係を明らかにします。ユーザの主体性を損なわずに運動パフォーマンスを向上させ、介護施設等で社会実証を行います。

研究項目3|適応共感型SeMT行動生成エンジン

担当:堀井 隆斗

人の内面を写し取る計算モデルを構築し、情動・感情を考慮した行動変容メカニズムを評価します。自由エネルギー原理に基づき、自己効力感向上につながるSeMT行動生成アルゴリズムを確立します。

研究項目4|SeMTに対する共感とユーザの主体性の評価系構築

担当:稲邑 哲也

脳活動・生理生体信号を用いてユーザの内面状態を推定し、SeMTの行動をリアルタイムに調整するための客観・主観評価系を確立します。自己と他者の境界の個人差を較正し、共感と主体性を両立する設計へつなげます。

研究項目5|SeMTの社会受容性の検討と制度設計

担当:呉羽 真、浅田 稔

SeMTに関する倫理的課題と対処法を特定し、市民対話を通じて社会受容性を検証します。倫理的・社会的に受容可能な技術設計指針を提案し、アジャイルガバナンスの適用によって社会実装を支援します。